プレミアリーグを愛する皆さん、こんにちは。
これまでプレミアリーグの覇権は、“ビッグ6”と呼ばれるクラブの間で争われてきました。
ここ数年は、この“ビッグ6”の中に含まれるクラブも不調に喘ぎ、欧州カップ戦出場権を逃し、もはや死語になりつつあるという声もあります。
とはいえ、イングランドだけでなく世界中のクラブでプレーする多くの選手たちにとって、この“ビッグ6”でプレーすることは大きなステップアップになるとみなされています。
今回は、勢力図が変わるかもしれない現在において、改めてプレミアリーグの“ビッグ6”について振り返ってみたいと思います。
ということで今回は、
- プレミアリーグ“ビッグ6”とは?
- “ビッグ6”の歴史と特徴
- “ビッグ6”のサポーターの愛称と特徴は?
- “ビッグ6”と日本人選手
- まとめ
の順でお伝えしていきます。
プレミアリーグ“ビッグ6”とは?
プレミアリーグ“ビッグ6”とは、毎シーズン覇権争いの中心となり、伝統や格式、実績にも優れた主要6クラブの総称のことを指します。
現在、“ビッグ6”に含まれているのは、
- リバプール
- マンチェスター・ユナイテッド
- アーセナル、チェルシー
- トッテナム
- マンチェスター・シティ
です。
1980年代~2000年代初頭にかけては、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシーの“ビッグ4”がリーグ覇権争いの中心でした。
そこに2010年代前後から、マンチェスター・シティ、トッテナムが加わり、現在の“ビッグ6”を形成するようになっています。
“ビッグ6”の歴史と特徴
では、現在“ビッグ6”と呼ばれている6クラブの歴史と特徴について、みていきましょう。
リバプール
創設:1892年
タイトル実績:リーグ優勝19回、FAカップ8回、リーグカップ9回、チャンピオンズリーグ6回※、ヨーロッパリーグ3回※、クラブワールドカップ1回(※前身大会も含む)
1980年代は、ケニー・ダルグリッシュ、イアン・ラッシュらを擁し、リーグ戦やチャンピオンズカップを幾度となく制し、イングランドのみならず欧州でもその強さを発揮してきました。
1990年代から2000年代初頭は、リーグ優勝やビッグイヤーから遠ざかっていたものの、2004-05シーズンのチャンピオンズリーグでは「イスタンブールの奇跡」で、5度目の優勝を成し遂げました。
さらに2015年10月にユルゲン・クロップ監督が就任すると、サラー、マネ、ファン・ダイクらを擁し、2018-19シーズンのチャンピオンズリーグを制し、2019-20シーズンはプレミアリーグになって以降初めての優勝を成し遂げました。
本拠地アンフィールドでサポーターが“We’ll never walk alone”を合唱する姿は、まさに圧巻ですね。
マンチェスター・ユナイテッド
創設:1878年
タイトル実績:リーグ優勝20回、FAカップ12回、リーグカップ6回、チャンピオンズリーグ3回、ヨーロッパリーグ1回、クラブワールドカップ2回※(※前身大会も含む)
1950年代はボビー・チャールトン、1960年代はジョージ・ベストやデニス・ローを中心に黄金期を築いていきましたが、1970年代は2部落ちも経験し、低迷期に入っていました。
しかし1986年にアレックス・ファーガソン監督が就任すると、1992-93シーズンには、26シーズンぶりのリーグ優勝を成し遂げ、2012-13シーズン終了後に退任するまで、現時点でプレミアリーグ最多の13回の優勝を手にしました。
1998-99シーズンは、ベッカム、ギグス、スコールズ、ギャリー・ネビルといった“ファギー・ベイブス”を中心に、チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、FAカップの3冠“トレブル”を達成しました。
ファーガソン監督退任後、長らくリーグ優勝から遠ざかっており、23-24シーズンも不安定なパフォーマンスとなっていますが、久々の優勝にも今後は期待したいですね。
アーセナル
創設:1886年
タイトル実績:リーグ優勝13回、FAカップ14回、リーグカップ2回、ヨーロッパリーグ1回
イギリスの首都ロンドンの北部を本拠地とし、エンブレムやクラブ創設の背景(軍需工場の労働者を中心に造られた)から“ガナーズ”の愛称で親しまれているクラブです。
1930年代にはリーグ3連覇を成し遂げ、1970-71シーズンはリーグ優勝とFAカップのダブルを達成しますが、なかなかあと一歩でタイトルに届かないシーズンが続き、メジャータイトルを獲得することは出来ませんでした。
しかし、1996年にアーセン・ベンゲル監督が就任すると、世界各地から有望な若手選手を獲得し、主力として成長させ、2003-04シーズンにはティエリ・アンリ、パトリック・ヴィエラらを中心に、プレミアリーグ無敗優勝を成し遂げました。
この2003-04シーズンの無敗優勝以降、プレミアリーグ優勝からは遠ざかっていますが、2023-24シーズンはミケル・アルテタ監督の下、20シーズンぶりのリーグ優勝を成し遂げてほしいですね。
チェルシー
創設:1905年
タイトル実績:リーグ優勝6回、FAカップ8回、リーグカップ5回、チャンピオンズリーグ2回、ヨーロッパリーグ2回、クラブワールドカップ1回
イギリスの首都ロンドンの西部を本拠地とし、チームカラーから“ブルーズ”の愛称で親しまれているクラブです。
1990年代から2000年代初頭にかけては、リーグ中位が定位置となっており、決して優勝を目指すクラブとはいえませんでした。
しかし2003年にロシアの実業家ロマン・アブラモビッチがオーナーに就任すると、監督にジョゼ・モウリーニョを招聘し、2004-05シーズンにプレミアリーグ優勝を達成すると、オーナー交代の2022年までに、リーグ優勝5回、チャンピオンズリーグ制覇2回と多くのタイトルをもたらしました。
またアブラモビッチからトッド・ベーリーにオーナーが変わっても、豊富な資金力で毎シーズンのように移籍市場の主役となってきました。
ここ2シーズンは、チームとして良いパフォーマンスを見せることは出来ていませんが、戦力的にはプレミアリーグの中でもトップクラスであり、今後の巻き返しに期待したいですね。
マンチェスター・シティ
創設:1880年
タイトル実績:リーグ優勝9回、FAカップ7回、リーグカップ8回、チャンピオンズリーグ1回、クラブワールドカップ1回
マンチェスターに本拠地を構える伝統あるクラブでしたが、同じ本拠地のマンチェスター・ユナイテッドに対し、主要タイトルを手にすることは出来ず、2部落ち、3部落ちも経験していました。
しかし2008年にUAEの投資グループADUGがオーナーに就任すると、豊富な資金力を背景にチーム力をつけ、2011-12シーズンにはロベルト・マンチーニ監督の下、プレミアリーグ優勝を手にしました。
そして2016-17シーズンから指揮を執るジョゼップ・グアルディオラ監督の下、現在までリーグ優勝5回、FAカップも2度制し、2022-23シーズンにはクラブ悲願のチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げ、3冠“トレブル”を達成しました。
近年の他を寄せ付けない強さはもちろんのこと、2008年にはシティ・フットボール・グループを設立し、23-24シーズンのラ・リーガで躍進しているジローナなどを傘下に置き、ビジネスだけでなく選手育成の面でも成功を収めています。
まさに現代サッカーの中心的な存在ともいえるクラブですね。
トッテナム
創設:1882年
タイトル実績:リーグ優勝2回、FAカップ8回、リーグカップ4回、チャンピオンズリーグ3回、ヨーロッパリーグ2回※(※前身大会も含む)
アーセナルと同じく、イギリスの首都ロンドンの北部を本拠地とし、“スパーズ”の愛称で親しまれ、アーセナルとの“ノース・ロンドン・ダービー”はリーグ屈指の盛り上がりを見せます。
1990年代前半は、ゲーリー・リネカー、ポール・ガスコインらを擁し、1990-91シーズンにはFAカップ優勝を成し遂げましたが、リーグ優勝を争うクラブとは決して言えない状況でした。
しかし2001年からダニエル・レヴィ会長が就任すると、ギャレス・ベイルやルカ・モドリッチなど若手有望株を獲得し、2010年代に入ってからはリーグにおいてもチャンピオンズリーグ出場権争いの常連となりました。
2014-15シーズンからマウリシオ・ポチェッティーノ監督が就任すると、2015-16シーズンはリーグ3位、2016-17シーズンはリーグ2位に入り、ハリー・ケインやソン・フンミンを擁した2018-19シーズンはチャンピオンズリーグ決勝まで進出しました。
“ビッグ6”の中では、唯一プレミアリーグでの優勝が無く、“ビッグ6”にはふさわしくないとの声もありますが、23-24シーズンはアンジェ・ポステコグルー新監督の下、リーグ上位争いを繰り広げ、“ビッグ6”にふさわしいパフォーマンスに期待したいですね。
“ビッグ6”のサポーターの愛称と特徴は?
ここからは、“ビッグ6”のサポーターの愛称と特徴について、みていきましょう。
リバプール サポーターの愛称:KOP
厳密に言うと、“KOP”とはイギリスのスタジアムに見られる急斜面のスタンド席の俗称のことであり、その由来は1900年1月に勃発したスピオンコップの戦いの舞台となった、南アフリカのレディスミス近郊にある丘に由来しているようです。
その“KOP”の最たる例がアンフィールドであり、熱心にチャントを歌うファンのことを日本では“KOP”と呼ぶようになったようです。
本来、リバプールファンを指す言葉としては“Kopites(単数ではKopite)”がありますが、明確な使い分けは特にないようです。
1989年4月に起きた「ヒルズボロの悲劇」の影響もあり、過激なファンも少なくなりましたが、キックオフ前に“We’ll never walk alone”を皆で歌う姿はまさに壮観ですね。
マンチェスター・ユナイテッド サポーターの愛称:特になし
クラブの愛称自体は“Red Devils”(赤い悪魔)ですが、サポーターもその名前で呼んでいるわけではないようです。
2012年に大手市場調査会社カンター社が行った調査によると、ファンの数が世界中の全てのスポーツクラブの中で最も多い6億5900万人であると発表されました。
著名人のファンも多く、100m走世界記録保持者ウサイン・ボルトや、ゴルフプレーヤーのローリー・マキロイ、元ボクシング世界王者マニー・パッキャオ、WWEのレスラーであり、ハリウッドスターでもあるドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)などがファンとして知られています。
アーセナル サポーターの愛称:Gooner(グーナー)
1886年、ロンドン南東部ウーリッジ地区にあった王室造兵厰(ロイヤル・アーセナル)の労働者が造ったクラブということもあり、“Gunners”(ガナーズ)の愛称が定着していきました。
そしてファンの愛称は、“Gunners”(ガナーズ)が訛って、“Gooner”(グーナー)になったと言われています。
ファンもその真相については、特に気にしていないようです。
チェルシー サポーターの愛称:特になし
クラブの愛称はチームカラーから“Blues”(ブルーズ)ですが、こちらもマンチェスター・ユナイテッドと同じく、ファンの愛称は特にないようです。
ホームスタジアムのスタンフォード・ブリッジは、ロンドン西部の高級住宅街にあることから、アーセナルは労働者階級のファンが多いのに対し、チェルシーは富裕層や政治家など上流階級のファンが多いと言われているようです。
この2チームの対戦は“ビッグ・ロンドン・ダービー”として知られています。
マンチェスター・シティ サポーターの愛称:Citizens(シティズンズ)
同じマンチェスターを本拠地とするマンチェスター・ユナイテッドが、United(グローバルな連合体)の名を持つのに対抗し、「真のマンチェスター市民によるクラブ」として“Citizens”(シティズンズ)と呼ばれるようになりました。
世界屈指の裕福なクラブに成長しても、“Citizens”のユナイテッドに対する対抗心の熱さは変わらず、ユナイテッドがチャンピオンズリーグでグループステージ敗退が決まった後に、「決勝トーナメント、ホームゲームのチケットを買いたい」と宿敵のオフィスにいたずら電話をしたという事例もあります。
熱狂的な“Citizens”として、マンチェスター出身の世界的ロックバンド“オアシス”のノエルとリアムのギャラガー兄弟が有名ですね。
トッテナム サポーターの愛称:特になし
クラブの愛称は、チーム名の“トッテナム・ホットスパー”から“スパーズ”と呼ばれていますが、サポーターを指す愛称は特にないようです。
ロンドン北部を本拠地とするトッテナムを語る上で、やはり同じ地区のライバルであるアーセナルとの関係は外せないでしょう。
1919年に1部リーグのチーム数が20に拡張されたことで、1部リーグ最下位だったトッテナムも残留は可能だとされていたものの、2部で5位だったアーセナルがトッテナムに代わり1部昇格となり、トッテナムは2部降格となりました。
ここから、この2チームのライバル関係は激しくなり、“ノース・ロンドン・ダービー”は歴史あるダービーマッチの一つとして数えられます。
“ビッグ6”と日本人選手
次に、この“ビッグ6”と日本人選手との関りについて、みていきましょう。
これまで、この“ビッグ6”に所属した日本人選手は以下の通りです。
リバプール:南野拓実(2020途中~2022)、遠藤航(2023~)
マンチェスター・ユナイテッド:香川真司(2012~2014)
アーセナル:稲本潤一※(2001~2002)、宮市亮(2011途中~2015)、浅野拓磨※(2016~2019)、富安健洋(2021~)
チェルシー:なし
マンチェスター・シティ:板倉滉※(2019途中~2022)、食野亮太郎※(2019~2022)
トッテナム:戸田和幸(2002途中~2004)
※トップチームでの出場は無し
これまで、“ビッグ6”にとって日本人選手は即戦力というより、将来に向けた投資の意味合いが強かったといえるでしょう。
2012年7月にドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドに加入した香川真司(現セレッソ大阪)は、2012-13シーズンにリーグ戦20試合に出場し、6得点4アシストを上げ、リーグ優勝にも貢献しましたが、翌年ファーガソン監督が勇退し、モイーズ監督に交代すると一気に出場機会を失ってしまいました。
またマンチェスター・シティは板倉滉、食野亮太郎と若手の日本人選手を獲得したものの、他クラブへのローン移籍が中心となり、トップチームでの公式戦出場は無く、退団しました。
その流れを変えたのは、2021年8月にボローニャからアーセナルに加入した富安健洋でしょう。
アーセナルの富安がアディショナルタイムもう勝敗関係無い場面だったが、ゴール決めたとき、みんなすごい笑顔で集まり、スタッフも喜んでてなんか富安はアーセナルでやってけると思った
— 麺と夏 (@RAMENASOBI) October 28, 2023
2021-22シーズン、リーグ戦開幕3連敗という最悪のスタートを切ったアーセナルで、加入直後からRSBのレギュラーとして定着し、21-22シーズンはリーグ戦21試合に出場しました。
22-23シーズン以降も、RSBだけでなくLSBでもプレーし、チームを率いるアルテタ監督からも厚い信頼を勝ち得ています。
また2023年8月にシュトゥットガルトからリバプールに加入した遠藤航も、シーズン序盤は出場機会を得ることは出来ませんでしたが、マックアリスター離脱後にアンカーとして起用されると、自身のパフォーマンスで評価を上げています。
アンフィールドのファンから遠藤航が求められる理由。 pic.twitter.com/O0SjAvRadc
— 酒井琢磨 スポーツプランナー (@takuma_sports14) February 10, 2024
アジアカップから復帰後のリーグ戦第24節バーンリー戦でもスタメン起用され、現在リーグ首位に立つチームにおいて、今後の活躍にも注目が集まります。
23-24シーズン終了後の移籍市場では、“ビッグ6”へ新たな日本人選手の加入があるかもしれませんね。
特に注目されるのは、板倉滉(ボルシアMG)と三笘薫(ブライトン)です。
高さはもちろん、ビルドアップ能力の高さも評価されている板倉には、リバプール、トッテナムが関心を示しているとされています。
またプレミアリーグ屈指のドリブラーとして活躍している三笘に対しては、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルが関心を示しているとされています。
これまでは無かった“ビッグ6”での日本人対決も、今後は増えてくるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、プレミアリーグの覇権争いの中心である“ビッグ6”の変遷の歴史や特徴、また日本人選手との関わりについてまとめてみました。
2023-24シーズンも半分を過ぎ、優勝争いもある程度絞られてきましたが、やはり“ビッグ6”が残ってきましたね。今後も激しい優勝争いが繰り広げられるでしょう。
その一方、“ビッグ6”の中でも優勝争いから少し後れを取ったクラブもあり、近年はニューカッスルやアストン・ヴィラのような豊富な資金力を有するクラブも優勝争いに加わり、新たな勢力図も出来上がってくるかもしれませんね。
日本人選手も現在、富安健洋(アーセナル)と遠藤航(リバプール)が、“ビッグ6”でプレーしており、リーグ優勝争いの真っ只中にいます。共に主力として活躍しており、シーズン終盤に差し掛かり、今後のパフォーマンスにも注目ですね。
また2024年夏の移籍市場では、新たに“ビッグ6”でプレーする日本人選手が誕生するのかにも注目ですね。
いつもありがとうございます!
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