VARが導入された経緯は?仕組みからメリット・デメリットも調査!

サッカーファンの皆さん、こんにちは。

 

今や多くのプロサッカーリーグで主流となっているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)

VARの導入により、1986年メキシコW杯でのディエゴ・マラドーナの「神の手ゴール」など、サッカー史を揺るがせるような誤審はもう生じないかもしれませんね。

 

日本代表も、カタールW杯のスペイン戦での「三笘の1ミリ」など、VAR判定によって救われたところもあります。

ただ、VAR導入で全てが解決したとは言い切れないようですね…。

 

ということで今回は、

  • VAR導入の経緯や理由
  • VAR導入の仕組み
  • VAR導入のメリット・デメリット
  • VAR導入でどう変わった?
  • まとめ

の順でお伝えしていきます。

VAR導入の経緯や理由

これまでは、マラドーナの「神の手ゴール」をはじめ、誤審も試合また大会全体のハイライトとして取り上げられ、重要案件とはみなされていませんでした。

 

しかし2010年南アフリカW杯では、ベスト16のドイツvsイングランド戦や、アルゼンチンvsメキシコ戦で、リプレイで明らかに反則だと分かるものも見過ごされる誤審が起こり、ここからテクノロジーの導入が進んでいきました。

カメラ精度の発展もあり、広いスタジアムでは見えない細かいところまで正確に捉えることも出来、ピッチ上の4人の審判だけでは限界であることも露呈されてきました。

 

2012年には、ゴールライン・テクノロジーが導入され、2016年8月からは北米3部のUSLプロフェッショナルリーグでVARの試験的な運用がはじまり、2018年ロシアW杯では主要国際大会として初めて全試合・全会場でVARが導入されました

 

Jリーグでも、2021シーズンから1シーズン通してVARが導入されています。

 

 

 

VAR導入の仕組み

では、VARは試合上でどのように導入されているのでしょうか。

 

試合では、4人の審判団とともに、設置されたVOR(ビデオ・オペレーション・ルーム)から、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)、AVAR(アシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリー)、RO(リプレイ・オペレーター)が各アングルから映し出されたモニターをチェックしていきます。

VARの介入が必要となった事象が起きた場合は、VARが映像をチェックしていることを無線を通して主審に伝え、レビューが必要だと判断した場合は、主審にレビューを提案します。

 

レビューのタイプは、

  1. VARオンリーレビュー
  2. オンフィールド・レビュー

という2種類になります。

VARオンリーレビュー”とは、VORでのVARチェックのみで、主審が映像からの判断を行わない方法になります。

よく試合中に試合を中断して、主審がイヤホンを耳に当てて、何やら交信している姿を見る様になりましたが、あの状態から試合を再開するのが“VARオンリーレビュー”という事ですね。

 

オンフィールド・レビュー”とは、主審がピッチサイドにあるレフェリーレビューエリアに設置されたモニターから映像をチェックして最終判断を下すのが“オンフィールド・レビュー”になります。

 

“オンフィールドレビュー”となった場合には、主審がチェックしている映像はスタジアムのモニターにも映し出され、選手、監督、ファン全てが確認することが出来ます。

 

「最小限の干渉で、最大の利益を得ること」を哲学としているVARは、「明白な間違いをなくす」ことを目的とし、あくまでも審判団のサポートを行い、最終的な判断は主審に委ねられています。

 

 

では、どんな場面でVARの介入の必要性が生じるのでしょうか?

  1. 得点かどうか?
  2. PKかどうか?
  3. 退場かどうか?
  4. 警告・退場の人間違い

この4つのケース以外では、VARが介入することはありません。

 

VARには回数制限はあるのでしょうか?

現時点では、回数制限は特に設けられていません。

 

ただプロ野球やテニス、バレーボールのように、選手や監督からビデオチェックを行うよう要請するリクエスト制度はありません。

やはりサッカーにおいては、主審は絶対的な存在であることに変わりないようですね。

 

 

 

VAR導入のメリット・デメリット

ここでは、VAR導入によるメリットとデメリットを取り上げたいと思います。

 

メリットとしては以下の点が上げられます。

  • 重大な誤審を避けることが出来る。
  • 審判の目の行き届かないところまで細かくチェックすることが出来る。

 

何と言っても、細かいところまでチェックすることが出来、今後歴史に残り続けるような誤審を避けることが出来るのは大きいのではないでしょうか。

ディエゴ・マラドーナの「神の手ゴール」が生まれた1986年メキシコW杯のアルゼンチンvsイングランド戦を担当したアリ・ビン・ナセル主審は、「未だにあの誤審を、多くの人たちに言われ続けている。」とコメントしています。

下手すればファンの暴動や抗議に発展し、今の時代ならば、SNSでの誹謗中傷にさらされることでしょう。

そうしたリスクを避けられるのは非常に大きいことです。

 

 

対して、デメリットとしては以下の点が取り上げられます。

  • チェックの時間が多くかかり、アディショナルタイムの時間が増える。
  • コストがかかる
  • 故意かどうかの判断までは出来ない。

 

当然ながら、ビデオチェックにより試合を中断せざるを得ず、試合の流れを止めてしまったり、アディショナルタイムが長くなってしまうという弊害が生じます。

 

今では10分近いアディショナルタイムは普通となってきましたが、VAR導入したばかりはやはりその長さに驚いたことでしょう。

また試合の流れを止められるのを嫌がる選手たちもいるのも事実です。

 

さらにVAR導入には、多くのカメラやモニターを必要とし、全世界すべてのリーグやコンペティションでVARを導入するには多くのコストがかかるという問題点もあります。

そして故意かどうかの判断までは出来ないというところも大きいですね。

 

例えば、ペナルティーエリア内でボールが手に当たってしまった場合、たとえ偶発的な事故の場合でもPKの判定を下される可能性もあります。

時間帯によっては試合を決定づけるものとなり、少し厳しすぎる判定になるかもしれません。

 

 

 

VAR導入でどう変わった?

VARが導入されたことで、確かにリプレイで誰が見ても明らかな反則が見過ごされることは少なくなりました。

しかし、完全に誤審が無くなったかと言われると、そうでもないようです。

 

その問題点を提起させたのは、2023-24シーズンのプレミアリーグ第9節、リバプールトッテナムとの一戦での判定です。

前半34分、サラーのスルーパスに抜け出したルイス・ディアスがゴールネットを揺らしたものの、副審はオフサイドの判定を下し、VARの介入をすることなく、そのままノーゴールの判定を下しました。

試合後、プレミアリーグの審判を統括するPGMOL(プロ審判協会)はこのシーンでのVARの音声を公開しました。

 

その音声内では、リプレイ・オペレーターがDFラインの線を合わせ、オンサイドだと伝えたものの、AVARがフィールド上の判定がノーゴールだということを忘れ、主審に「チェック完了」と伝え、そのまま試合を再開させてしまったという一連の流れが出されていました。

VARルーム内での連携ミスが招いたこの誤審についてPGMOLは、「重大な人為的ミス」と述べています。

 

この試合で1-2で敗れたリバプールは試合後クラブ公式サイト内で、「審判団がプレッシャーの中で動いていることは受け入れているが、これらのプレッシャーはVARの存在と実施によって軽減されるべきで、…正しい判定が下されるまで十分な時間が与えられず、介入がなかったことに対して不満を抱いている。」と声明を出しています。

最終的な判断は主審に委ねられている以上、主審とVARとの連携が上手くいかなければ、「重大な人為的ミス」による誤審は無くならないでしょう。

 

この試合以外にもプレミアリーグではVARの介入がなく、見過ごされてしまった誤審も多くあり、VAR導入で新たな課題も生じています。

 

 

 

まとめ

いかがでしたか?

 

今回は、VAR導入の経緯や理由、VARの仕組み、VAR導入によるメリットとデメリット、VAR導入後の変化などをまとめてみました。

 

科学技術の発展により、より細かくチェックすることが出来るのは素晴らしいことですが、それを扱うのは人間であり、間違いを起こすこともあるということを忘れないようにしなければいけないですね。

試合の流れを左右する重要な局面での数センチ、数ミリ単位の細かい差の判断は、スタジアム内の選手、監督、サポーターだけでなく、TVで見ているサッカーファンの気持ちを大きく揺さぶるものとなり、悪い結果に反映される可能性も否定できません。

 

VARにより、誤審のリスクは低くなるものの、誤審が無くなるとは決して言い切れないですね。

どちらにせよ、後味が悪い試合にはならないようにしてほしいものです。

いつもありがとうございます!

コメント

タイトルとURLをコピーしました